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2008年02月06日
Catch the Wave. さえない時の過ごし方。

「青い珊瑚礁」など日本で数々のヒット曲を生み出したニューヨーク在住の作曲家、小田裕一郎さんと先日、ニューヨークのカラオケ店に行った。丁度、日本の大物女性歌手もNY滞在中だったため、一緒に歌うことになった。
私の友人の一人が、そのビッグな歌手に対して、誰もが知るあの有名なもち歌を歌って欲しいとねだった。おそらく彼女は同じリクエストは何百回も受けているのだろう。笑いで誤魔化し、最後まで歌うことはなかった。少し疲れた様子の彼女は、以前のような覇気が感じられなかった。現在、彼女はどのような活動をしているのだろう。ふと気になった。そんな時、突然、小田先生は彼女をかばうように語りかけた。「売れないときの過ごし方が大切なんだよ」と。
私は数年前のつらかった時期を思い出した。前章でも書いたが、私は、90年半ばからネットベンチャーの波に乗り、億単位の多額の投資を集めて事業を拡大していった。しかし、2001年にニューヨークを襲った同時多発テロによって木っ端微塵になった。それからしばらく低空飛行が続いた。 
2003年初め、アメ★ドリ誌での新年の挨拶文で「忍耐と貯蓄の年」というタイトルの原稿を書いた。当時は倒産寸前状態。社員から「こんなの載せたらいよいよ会社がまずいと思われますよ」といわれ、ボツになった。社長とはいえすっかり自信をなくしてしまっていた私はあっさり社員の意向に従った。今思うと、新年の挨拶としては確かに暗い。
しかし、振り返ってみると、あの時にしっかり「忍耐と貯蓄」をしたので、ここまでこられたのだと思う。逆境の時にしっかりと力を蓄えたものが、最後は勝つ。
チャンスは意外なときにやってくる。例えば99年や00年は、自分が断っても断っても億単位の投資話や提携話が持ち込まれた。しかしこれは、一方的に幸運が飛び込んできたわけではない。それまでの数年間にわたる努力や種まき、つまり自分の中に貯蓄があったからこそ、それをエネルギーにして幸運をつかむことができたのだ。
景気の悪い時、世の中の循環が良くない時に無理やり何かを変えようと頑張っても達成することは難しい。2−3年耐えればまた、いい時は必ずやってくる。そのときに波に乗れるよう、準備をしておく充電の時期が大切なのだ。
私は「忍耐と貯蓄」の時期に、まずは自分のための時間を作ろうと考えた。そしてこの数年間忙しくできなかったことをもう一度やってみることにした。ジムに通って体力と健康を取り戻したり、会計学をもう一度基礎から勉強してみたり。将来は、社長業のかたわら執筆業にも精を出したいと考えていたのでたくさん本を読んで語彙を増やし、たくさんの人に取材して見識を広げようとした。
 人生は挑戦の連続だ。加山雄三さんは映画俳優から歌手へ、そして現在は画家として活躍している。ビートたけしさんもお笑い芸人からタレントに、そして映画監督になった。力を蓄えて来るべき挑戦の時を迎えれば、自分の人生はどんどん広がっていく。