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2006年02月06日
[スポーツライター上村智士郎の業界人独り言] 第27回 ◆フットサルの全日本選手権やっています!

 2月5日、今年で11回目を迎えるフットサル選手権の決勝戦が行われる。原稿の締め切りの関係で、その結果をお伝えできないが、今年も例年通り競技人口でも競技レベルでも他を圧倒する関東勢同士の対戦となった。

 フットサルというスポーツにまだ馴染みのない方のために紹介すると、簡単に言ってミニサッカーである。公式には20メートル×40メートルのコートに、2メートルかける3メートルのゴールをおき、1チーム5人同士で相手もゴールを目指す。11人のサッカーに比べ、コートの面積で約5分の1、ゴールの大きさで3分の1というスケールである。手を使ってもいいのはゴールキーパー一人であるのはサッカーと同じ。本来体育館などで行われる室内スポーツだが、日本では人工芝の屋外型のフットサルコートが普及している。

 フットサルという競技自体は、世界的に見ても1994年に国際的にルールが決められて、競技として始まったばかりのスポーツである。それまでミニサッカーというくくりで、各国や地域で様々なルールで行われていたものを、国際サッカー連盟が“フットサル”という競技名を作ると同時に統一ルールを制定したものである。

 今、行われている全日本選手権は、このルール制定直後から始まった日本サッカー協会が主催する正真正銘日本一を決める大会で、全国のフットサルを競技する選手たちの憧れの大会である。だがこの大会もわずか10年余の時間の中で、紆余曲折があり、ニッサンカップとして有明コロシアムでスタートした時の華々しさに比べ、その後5、6年は参加チーム数は徐々に増えていくものの、駒沢体育館でひっそりと行われていた。それでも徐々に注目を集めるようになったきっかけは、やはり2002年のワールドカップである。世界のトップレベルのサッカーを見て、ライト版サッカーであるフットサルにも目を向けられるようになった。このため昨年から決勝戦だけ入場料を徴収するようになり、今年からは会場を8000人収容できる代々木第一体育館に代えた。

 このように周囲の状況は変わったいるが、競技の中心にいる人たちの状況は、10年間ほとんど変わっていない。まずはその競技レベルは、およそお金を徴収して見せるレベルには程遠く、あくまでもアマチュアスポーツである。というよりは、2、3年前よりも下がっている可能性もある。一昨年見た世界選手権の決勝、準決勝はとはまるで別のスポーツである。ちなみに国際的に見ると、日本はトップレベルに大きく水を空けられて、アジア予選を突破して世界選手権に出るのがやっとレベルである。

 日本選手権の話に戻ると大会関係者もまだまだお金を取って見せる意味がよく分かっていないらしい。有料入場の競技なのに、試合のスタートは3位決定戦が10時、決勝戦が12時である。土曜日に行われた準決勝も同様である。せめて12時スタート、できれば14時スタートのするのが見せるイベントとしての最低の条件だろう。選手側だって10時に競技を始めるには6時には起床しなくてはならず、いいコンディションで試合に臨めるとは思えない。

 まだまだ、様々な問題を抱えているトップレベルのフットサルだが、ここ2、3年、日本リーグ構想のボルテージが高まっている。日本リーグこそが競技レベル向上の必須条件の如く関係者の中で話題が先行し、周囲でも皮算用が進んでいる。だが、これだけフットサルが普及してる中行われている全日本選手権の存在をどれだけの人が知っているだろうか。日本リーグが開催されても、見るスポーツとして成長していない現状では、その状況は変わりようがない。

 元来、気軽に都市空間でプレーできるフットサルは、日本に合ったスポーツである。そのスポーツの底辺の拡大とともにトップレベルを押し上げようとする動きは至極当然だが、その一方で楽しくフットサルをいかに維持をしていくか? 日本リーグを立ち上げお金儲けを考える前に、この問題の方が何倍も大変ではるかに大きなテーマなはずなのだが。こちらは自然に任せる方針らしい。