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2005年12月15日
[スポーツライター上村智士郎の業界人独り言]◆ 第21回 「東京ドーム発、スノボーイベントに注目!」

 Jリーグの入れ替え戦で1部の柏レイソルが2部のヴァンフォーレ甲府に破れ降格決定。
 しかも一人の選手に6点も取られての完敗は開いた口が塞がらない。
 来年のワールドカップの組み合わせ抽選会が行われ、日本は1次リーグでブラジル、クロアチア、オーストラリアというある意味とんでもなく難しい枠に入った。
 さらに今週はチーム別のワールドカップとも言えるトヨタカップが始まり、改めてカズ(三浦和良)のシドニーFC(オセアニア代表)へのレンタル移籍は日テレの話題作りかという疑念がふつふつと。

 そんなサッカー尽くしの今週ですが、今回のテーマはスノーボードです。
 12月10日11日、今年で6回目を迎えるX−TRAIL JAMというスノーボードのイベントが東京ドームで行われた。
 もちろん、スノーボードのイベントだから東京ドームに雪が持ち込まれスロープが作られている、その高さは東京ドームの天井に届かんばかり。
 その高さから、世界でもトップレベルのボーダー(スノーボードの選手)たちが、急勾配のスロープを滑り降りジャンプして、その空中でのアクションで技のレベルを競うのである。
 ウインタースポーツに全くと言って縁の無かった私にとっては未知の世界。
 特にジャンプのように距離を競うわけでも、アルペンやモーグルのようにタイムを競うわけでもない。
 一瞬とも言える空中でもパフォーマンスを採点して競うという抽象的な競技だけに、正直最初は戸惑いもあった。
 だが、徐々に引き込まれていく。やったことがない私から見ても、尋常じゃないことが分かるパフォーマンスが連発され、その繰り返しの中でクオリティがグングンあがっていく。
 もう一つの驚きはその観客の多さ。日曜日だった大会二日目は東京ドームが超満員。会場では45000人の観客が集まったことがアナウンスされた。
 競技によって高まる緊張感。その合間で繰り広げられるイベントを盛り上げるためのアトラクションとBGM。
 特設された大画面に映し出されるリアルな映像。超満員の客席。
 そして怪我をも恐れないボーダーたちと彼らが見せる圧倒的なパフォーマンス。この状況で盛り上がらないはずがない。
 もちろん純粋な競技スポーツのイベントの盛り上がり方とは少々違うものがあるが、気にする必要はない。これもスポーツイベントの一つの姿だ。
 逆に「競技人口はいるのにお客さんが集まらない。盛り上がらない」と嘆いているどこかの競技団体の関係者にはぜひ参考にしてほしい。

 惜しむらくは、この舞台に出場している日本人選手と海外から招待されている世界的な選手たちとレベルの差。
 今回の大会の見る限りはその差は歴然としている。日本人選手がより高いレベルで戦えるようになれば、さらに場内のボルテージが高まることは間違いないだろう。
 更にもう一点。この大会に出ている日本人選手たちは、競技レベルの差ではなく、スノーボードに対する考え方やライフスタイルの違いで、オリンピックではなくX−TRAILのような大会を戦いの舞台にしている。
 だが日本はオリンピック至上主義の国である。現在欧州を転戦しワールドカップで好成績をあげているオリンピック出場予定選手たちがこの大会に出場するようになれば、新たな環境が生まれことも期待できるのではないか。
 確かに細かく言えばオリンピックとは若干種目が違うようだが、海外の招待選手には各国オリンピック候補選手も少なくないし、過去にはオリンピックのメダリストがこの大会の参戦し表彰台に立っている。
 選手たちにとっても5万人近い大観衆の中での競技を体験することで、少なからず得るものがあるはずだ。
 同じ競技の中で明確な住み分けが起こっているあたりに、日本の競技団体らしい閉鎖的な雰囲気も感じられる。
 いずれにしても、あの盛り上がりはかなり“やばい”。ぜひ来年も足を運んでみたいと思う。

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●上村智士郎 さん●

Jリーグチームの応援番組の演出や、CS放送のサッカー中継のディレターを手がける一方、サッカー 専門誌をはじめ各種スポーツ雑誌、スポーツ紙、インターネットサイトに記事を掲載。またスポーツ系インターネットサイトや選手のホームページのプロデュースも行う。現在は女性向けスポーツ情報フリーペーパー「ABUSOLUTELY SPORTS」をプロデュース。

S.blend Inc 代表取締役

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