その一方で日本語を覚えようとする努力は相当なもので、我々が通訳の方に話す日本語にも一生懸命耳を傾けていた様子が今も目に浮かぶ。
当時ラーメンが大好きで、夜な夜な家の近くのラーメン屋に通っていると話していたが、今もラーメン好きは変わらないだろうか?
そんなバレンタイン監督は、その年万年Bクラスのチームのマリーンズを2位までの躍進させたが、当時GMだった広岡達朗氏との確執でチームを去った。
あれからおよそ10年。マリーンズのフロントは彼の人柄と手腕を忘れていなかったのだろう。
その間に彼はニューヨークメッツをワールドシリーズに導き、その実力が本物であったことを証明してくれた。
今年、31年ぶりのマリーンズの優勝とともに注目されているのが、その熱いファンの応援とそれを支援するかのようなチームの対応である。
ファンを26番目の選手として「26番」を与え、敬意を払うスタイルはサッカーの「12番」からアイデアを得たと聞いている。
近年のロッテは様々なジャンルから人材を登用し、ファン獲得のために数々のアイデアを提供してきたが「26番」もそのひとつなのだろう。
だが、そのマリーンズも91年の千葉に移転後、最初からこうした姿勢を見せていたわけではない。
かつては常に東京に向いた営業スタイルに批判が相次いだものだった。
また、地元千葉優先と標榜しながら、移転した91年のドラフトではこの年のドラフトの目玉とされた地元高校の石井一久投手への指名を回避するなど、「野球王国千葉」の威信を傷つけるスカウンティングもまた、千葉県民の批判の対象となった。
今年の高く評価されている応援にしても、外野に陣取る旧川崎市時代からの応援団と内野に陣取る千葉移転後に生まれた応援団(実際にはこちらは団にまでなっていなかったが…)が、全く別々の応援をするなど、興ざめの以外の何ものでもなかった。
あれから十数年。
今年の優勝はまさにチーム、フロント、ファンが一体となって勝ち取ったものだろう。
私自身千葉市民の一人として、「千葉にプロ野球球団を誘致する県民会議」というマリーンズの誘致運動に深く関わり、千葉が全国的にスポーツの発信地となれることを願った一人として、この日本一は感慨一入である。
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●上村智士郎 さん●
Jリーグチームの応援番組の演出や、CS放送のサッカー中継のディレターを手がける一方、サッカー 専門誌をはじめ各種スポーツ雑誌、スポーツ紙、インターネットサイトに記事を掲載。またスポーツ系インターネットサイトや選手のホームページのプロデュースも行う。現在は女性向けスポーツ情報フリーペーパー「ABUSOLUTELY SPORTS」をプロデュース。
S.blend Inc 代表取締役
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