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2005年10月08日
[スポーツライター上村智士郎の業界人独り言]◆ 第12回 なぜ宮里藍はアメリカに旅立つのか?

 宮里藍が先週末の日本女子オープンで史上最年少で優勝し、年間賞金ランキングで待望の首位に立った。
 生涯獲得賞金(と言っても彼女の場合はわずか2年間のことだが)でも早くも2億円突破したと言う。
 そうした数字もさることながらその人気の方も驚くばかりだ。
 彼女の人気に乗じて、いきなり女子ゴルフが人気スポーツ仲間入りをした。
 今回の日本女子オープンを中継したNHKの最終日の視聴率は12%を超えたそうだ。
 日曜日のデータイムの視聴率としては異例の数字だ。
 宮里のあまりの活躍に、4年連続賞金女王の不動裕理をはじめ他の選手たちの影も薄い。

 その宮里が、その先月末に来シーズンのアメリカ女子ツアーのシード(参加)権をかけた1次予選会を見事2位で通過し、11月末から行われる最終予選に駒を進めた。
 最終予選には今回1次予選を通過した32人以外にも、今シーズンのツアーに参加していながら、シーズン末でシード権を失った選手などが出場するために、1次予選が2位という好成績だったからと言って、このまますんなりと宮里がシード権を獲得できるとは限らない。
 だがやはり期待は膨らむ。

 ところで、なぜ宮里はアメリカツアーに参戦することを望むのだろう。
 もちろんこれは宮里に限ったことではない。
 それが女子ゴルファーにとって最高の舞台だからだ。
 アメリカツアーとは名ばかりで、今年は南アフリカで開催されたワールドカップにはじまり、全英女子オープンや日本のミズノオープンなども組み込まれ、事実上のワールドツアーである。
 そしてそれにともない賞金も国内ツアーに比べはるかに多額だ。
 現在日本ツアートップの宮里の賞金総額が約9000万円に対し、アメリカツアートップのA・ソレンスタムは約200万ドルを稼いでいる。
 これもまた彼女をアメリカに向かわせる理由に違いない。

 大成したアスリートが、子供だった時、そのスポーツを選んだ理由は様々だ。
 だが多くの場合に両親の存在が大きく影響する。
 もしその競技への取り組みが“趣味”の域を超える場合、それは職業の選択と同じ意味を持つからだ。
 「いい学校に入れて、いい大学を卒業し、いい会社につとめる」。
 それと同じように子供たちの将来を考えて、自分の子供にスポーツをさせる。
 時にはより“儲かる”可能性のあるスポーツを選んでいくのだ。
 宮里家に限らずゴルフの世界では、古今東西こうした例に枚挙を問わない。
 そうすることで夢を子供に託すのだろう。

 Jリーグがスタートしたおよそ10年前、サッカーが少年がするスポーツの競技人口で一位になった。
 野球を抜いたのだ。
 プロ化の華々しさが少なからず影響したのだろうが当時は高騰する年棒に驚かされたものだった。
 だがここ1、2年それが再度逆転しているという。
 その理由のひとつが松井秀喜、イチローらの活躍のお陰でメジャーリーグが子供たちの具体的な目標になったことだろう。
 と同時に日本人の野球選手でも成功すれば年間10億円の収入を得ることができることを示したのだ。
 もちろんJリーグとプロ野球を比べた年棒の差も大きな理由だ。

 来シーズン宮里がアメリカツアーに参加した場合、どれくらい賞金をかせぐのだろうか。
 もし宮里がアメリカでも賞金女王争いをするようなことになると、娘にゴルフをさせる家庭が一気に増えるかもしれない…。

 


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●上村智士郎 さん●

Jリーグチームの応援番組の演出や、CS放送のサッカー中継のディレターを手がける一方、サッカー 専門誌をはじめ各種スポーツ雑誌、スポーツ紙、インターネットサイトに記事を掲載。またスポーツ系インターネットサイトや選手のホームページのプロデュースも行う。現在は女性向けスポーツ情報フリーペーパー「ABUSOLUTELY SPORTS」をプロデュース。

S.blend Inc 代表取締役

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